日差し

あったかいね。
お天気がよいので出勤前にシーツを、帰ってからソファカバーを洗濯。
本当は羽毛布団をしまってしまいたいのだけど、どうにもふわふわ素材のカバーからふわふわの素が溢れて、カバーを外すと羽毛布団にくっついていて、私の全身にもふわふわまとわりついてしまうので、できれば夫と外したい。

夫はこの季節のお布団を持っていなくて、今週末にでも買いに行こうかなと考え中。
私は無印の薄い掛け布団に切り替えて、夏もそれをお腹にかけて寝るのだけど、夫は夏は本当にお布団を使わない人だからなぁ。
本人もこの、狭間の時期だけに買うのもなぁ、みたいなことを言ってたっけ。
2人で私の布団を分けてすごすのも、アリかな。

汗っかきの私はソファカバーを外したソファの上で、極力発汗部位が触れないように妙な姿勢でいる。
だから独身の頃は、このソファに落ち着いて座れなかった。
洗えるシーツの上が安心できたから。
体に触れるものは、洗濯できるものでありたい。
靴も本当は洗ってしまいたい。
カーペットは敷かずにいたい。
シーツも掛け布団カバーも毎日洗いたい。
別にそこまで、と思われるだろうけど、私の手先足先の発汗は尋常でなく、本当に、触れたら汚れると思ってしまうので。
これだけ洗剤が進化する世の中で、私の体は汚れてるとしか思えなくなる。

最初はノートに触れるのがイヤだった。
すぐにふやけて文字なんて書けなくなる。
だから硬筆はイヤだと突っぱねたし、漢字の書き取りは最低限で覚えるようになった。
プリントを後ろの席に回すとき、端っこをつまむようになって。
ハンカチを忘れたら、もうテストへのモチベーションなんてなくなって。

ピアノもイヤだった。
何度も指が黒鍵から滑り落ちてしまうし、踏ん張れない。
先生は私が使った後のピアノを、月1お手入れ用のクリーナーで毎回磨いた。

洋服に汗をかくことを、はずかしいと思い始めたのはいつからなんだろう。
かわいい服が、着ているだけで台無しになる。
極力目立たない服を、薄着を、動かないことを、気にかけて怯えるようになった。

極め付けは、人に触れられない。
少し触れて驚かれるたびに笑ってごまかして、触れないよう触れないよう息を詰めて生活していた。
体育祭のフォークダンスは、恥ずかしさよりも恐怖が優って、わざと砂だらけにした手で毎年挑んだ。
カラオケのマイクはハンカチでくるんで使う。
お釣りはできればトレーから受け取りたい。
みんな汗だくの練習中でも、私と触れたチームメイトは驚いた。
こんな私が人と手を繋ぐなんて、怖くて考えられなかった。

夫はいつも「汗だねぇ」と笑って手を繋いでくれるけど、心はまだまだ怯んでる。
相手がよくても、私がダメだから。
こんな手が、大好きな人に触れている事実が耐えられない。
本当に、汚い体。
夫と手を繋いでいけそうなのは、彼が私以上に汗をかく人だからだ。
私って汗っかきじゃないのかも、と錯覚するほど、夏場は隣で全身ぐっしょりしてる。
とはいえ夫は清潔感を常に携えているので、別に私は彼がそんなでもまったく気にならないし、寧ろ私自身に対する嫌悪感への言い訳にさせてもらってる。
そんな夫は、手先と足先にはまっったく汗をかかないのが、不思議なところ。

暖かくなり始めて、我々夫婦はすこぅし憂鬱だ。
嬉しいんだけど、でも暑くなるねぇ……とため息が出る。
3月とか10月とかが永遠に続けばいいのにね、と毎年話す。
来年もそんな会話をしていたらいいね。

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